人手不足が深刻化している飲食業界では、外国人スタッフの採用を検討する店舗が増えています。その中でも注目されているのが「特定技能1号」制度です。この記事では、飲食店が初めて特定技能1号外国人を受け入れる際の流れを、初心者向けにわかりやすく解説します。
1. 特定技能1号とは?
「特定技能1号」とは、日本で深刻な人手不足が発生している14分野で就労が認められている在留資格です。飲食店は「外食業分野」に含まれ、調理・接客・店舗運営補助などの業務に外国人を雇うことが可能です。
在留期間は最長5年で、日本人と同等以上の待遇が求められます。
2. 受け入れの流れ
ステップ1:特定技能所属機関の届出
外国人を受け入れる飲食店は「特定技能所属機関」として法務省に届出が必要です。これにより、外国人を正式に雇用できる立場になります。この書類に関しては、次のステップ4の在留資格認定証明書の申請の際に、法人側で準備を行い、提出します。
ステップ2:採用候補者の選定
特定技能外国人は、国内で在留資格を持つ人材、または海外からの人材を採用できます。候補者は「特定技能評価試験」に合格していること、日本語能力試験(N4相当以上)に合格していることが条件です。
ステップ3:雇用契約の締結
雇用条件は日本人と同等以上でなければなりません。最低賃金を守るだけでなく、残業代・社会保険・雇用保険の加入も必須です。
ステップ4:在留資格認定証明書や変更の申請
外国人を海外から呼ぶ場合には、出入国在留管理庁に「在留資格認定証明書(COE)」を申請します。国内にいる外国人を受け入れる際には在留資格変更の申請をします。申請から認定まで2〜3か月程度かかることが多いため、早めの準備が重要です。
ステップ5:支援計画の実施
飲食店は外国人スタッフに対し、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談体制の整備などの支援を行う義務があります。自社で難しい場合は「登録支援機関」に委託できます。支援費用は月2〜3万円程度が相場です。
ステップ6:入国・就労開始
認定証明書をもとに外国人が入国し、在留カードを受け取った後、就労を開始できます。その後も定期的に支援や報告が求められるため、体制を整えておくことが大切です。
3. 注意点と成功のポイント
•給与水準は日本人と同等以上に設定
•社会保険・雇用保険への加入は必須
•支援業務は自社か登録支援機関に委託
•長期的な人材育成を視野に入れる
外国人スタッフは日本語や文化の違いに不安を抱えている場合があります。日常的なサポートや研修体制を整えることで、安心して働ける環境を作ることができます。
最初は手続きが複雑に感じるかもしれませんが、特定技能外国人の申請を行っている行政書士などを活用すればスムーズに進められます。人材不足を解消し、安定した店舗運営を実現するために、特定技能制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。